ジャバ・ザ・ハットリ
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AWSを最短でマスターするための入門者向けココロエ3箇条

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これから AWS を学ぶ方へ「AWS を最短でマスターするための入門者向けココロエ3箇条」を書いた。これはあくまで入門者向け。AWS の全てを把握してバリバリにご活躍中のインフラエンジニアは除く。

AWS を最短でマスターするための入門者向けココロエ3箇条

  1. 全 AWS サービスを視野に入れない
  2. 実践あるのみ
  3. ただし基礎は本から

この3箇条の意図をそれぞれ解説する。

1.全 AWS サービスを視野に入れない

「さあ、これから AWS をマスターするゾ!」となってもいきなりやる気を削いでしまうのがこのアイコン列。

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よく使いこなしている人にとってはお馴染みのアイコンだが、初学者にとっては「おいおい、これ全部把握しろてか?」となってしまう。まずは安心して欲しい、少なくとも私が今まで会ってきたバックエンドのエンジニアでこれらのアイコンの中身を全て完璧に把握していた人は居なかった。
「AWS を実務で使いこなすこと」≠「全 AWS サービスを把握すること」なのだ。
この中から自分の担当プロジェクトに不可欠なサービスだけ抜き出して、まずはその主要サービスだけを徹底的にマスターする方が近道。
おそらくは EC2、S3、RDS、がまずは基本としてあって、その後に Route53、IAM、CloudFront などが続くと思われる。

2.実践あるのみ

職場の AWS をよく知るエンジニア達にどうやってマスターしたのか、聞いてみると共通する答えは「実践あるのみ」だった。これはほとんどのプログラミング言語と技術に共通すること。実践すればするほど、身につく。インフラは失敗した時の影響がデカイのでついつい恐れてしまうが、不必要に恐れてはいけない。
「これ失敗したら、うちのサービスが落ちるんだぞ。分かってるだろうなー。おい」と脅されながら、やらなければならない、というヒリヒリした緊張感の中での実践が AWS スキルを向上させる。
失敗しても誰も困らないテストサーバーへの設定とは学べるスキルレベルが格段に違うのだ。「やってまえー!やってまえー!」という姿勢を基本的にオススメする。(もしサーバー止まったら頑張って自分で治してくださいね。)

3.ただし基礎は本から

AWS にはとても詳しいウェブドキュメントがたくさんあって「本なんか買わなくてもウェブで十分だわ」と考えてしまうと、案外それが遠回りになる。

AWS のウェブドキュメントの充実ぶりは凄まじい。「そこまで詳しい説明いらねー」と言うぐらいに、とにかく全部かいてある。ある程度のインフラ構築の基礎がある人が読めば、「あーそうか」となるのだが、AWS 初心者が基礎が無いままドキュメントを読むと訳が分からなくて余計に時間がかかる。最短コースは基礎を本で学び、その上に実践で取得したスキルを重ねていく方法だ。で、分からない箇所があればそれを AWS のウェブドキュメントで補う。

ある会社ですごい AWS のドキュメントが残されているのを見たことがある。もうそれは「1)○○ をクリック」「2)メニューから ○○ を選択」「3)枠に ○○ を入力」と事細かに書かれていた。だが、そんな完璧なドキュメントには負の側面があって、それは「ドキュメント通りの設定はできるがその自分でやった設定の意味がまったく分かってない人を生み出してしまうこと」だ。そういう、設定しただけで自分が何をしているのか把握してないエンジニアは障害発生時に何の役にも立たないのだ。

基礎は実践だけでは補えないし、充実した AWS のドキュメントにも書いていない。基礎を学ぶにはやはり本しかない。

Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築
Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築
- 作者: 玉川憲,片山暁雄,今井雄太
出版社/メーカー: 日経 BP 社
発売日: 2014/07/16
メディア: 単行本

Amazon Web Services実践入門 (WEB+DB PRESS plus)
Amazon Web Services 実践入門 (WEB+DB PRESS plus)
- 作者: 舘岡守,今井智明,永淵恭子,間瀬哲也,三浦悟,柳瀬任章
出版社/メーカー: 技術評論社
発売日: 2015/11/10
メディア: 単行本(ソフトカバー)

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド
Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド
作者: NRI ネットコム株式会社,佐々木拓郎,林晋一郎,小西秀和,佐藤瞬
出版社/メーカー: SB クリエイティブ
発売日: 2015/03/25
メディア: 大型本

上記の3冊はファイアーウォールの設定、サーバー構築、Apache、PHP、MySQL などが順を追って丁寧に設定しながらその概念が説明されいる。今では Apache よりも nginx、PHP よりも Ruby、MySQL よりも PostgreSQL を採用するケースが多いかもしれないが、そこは大して問題にはならない。本書で学ぶべきはその概念だからだ。上記の本のうち、どちらかフィーリングが合う本を1冊読めば Ok と思う。3冊とも読む必要はない。ちなみに私はそれぞれを借りたりして読んだだけで一番上の本以外、通読はしていない。それでも読む価値は大いにあった。

インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門
インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門
作者: みやたひろし
出版社/メーカー: SB クリエイティブ
発売日: 2013/12/27
メディア: 大型本

AWSに限定しないインフラの知識は必ず必要になる。本書にはインフラの説明をしながら「AWSでは~と呼ぶ」といった説明もあって、AWSのためのインフラやネットワークを学ぶには最適な1冊といえる。

まとめ

快進撃がとまらないアマゾンの AWS。既にアマゾンの営業利益の半分以上を占める稼ぎ頭となった AWS は全てのウェブサービスのプロジェクトで実装もしくは導入を検討されるサービスのひとつ。そんな訳でシンガポールのスタートアップ界隈の転職事情においても、バックエンドエンジニアの場合「AWS はどのぐらいできる?」は必ず聞かれる質問のひとつ。ところが「バックエンドのエンジニア募集!」とやった場合に必ずしも本業がインフラではないため、コーディングは強いがインフラ構築は弱い、という人がたくさん応募してくる。

そんな時に「オレはコーディングはもちろんインフラも完璧だぜ!」とやれば英語圏のエンジニア職への転職が非常に有利になるのは間違いない。そんなエンジニアを目指す方へ少しでも参考になればと思って書いた。

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